山林の筆界について
2024年11月22日(金)にて当法人代表の柴﨑が『「山林の筆界の探求」~百間堤とその周辺の筆界について~』と題して、山林の筆界について約1年半取り組んできた研究について、滋賀県土地家屋調査士会、土地境界鑑定委員長として報告しました。

昨今の所有者不明土地問題に関係し、資産価値の低い山林の土地は関心が薄く、置き去りにされがちです。大規模な土木事業に関する用地案件も減っており、山林の筆界を扱える技術者が減ってしまう恐れがあります。こういった背景から、山林の筆界を研究テーマに掲げ、取り組んできました。

研修は滋賀県土地家屋調査士会の会員向けに行われており、山林の筆界を検討する上での現地調査や測量など実務的な話をしております。所有している山林の土地に道路や鉄道が通るといった話があれば、土地の境界を確認し、売買にまで至る可能性がでてきますが、現実今の時代ではなかなかそのような話は起こりません。
むしろ売りたくても買い手がいない、処分するのに費用がかかってしまうといった話が多いのではないでしょうか。
「山林の筆界の探求」では、新しいGNSS測量機を用いてどれだけ作業効率が良くなるか検証を行いました。まだまだ課題はありますが、山林のような現場作業が大変なところでも、新しい計測技術により、費用面において抑えれる可能性を探りました。
相続土地国庫帰属制度が施行され、問い合わせされている話を聞くようになりました。しかし、境界が明らかであるなど引き取る条件を満たしていないといけません。
山林は入会地として利用されていた場所もあり、利用されなくなった現在では権利関係も複雑になってしまっているケースもあります。山林の敷地について知っている人も少なくなっています。
山林の筆界は、私たちの生活から遠い存在のように思われがちですが、将来的な土地の利活用や相続問題と密接に関わっています。今後も現地調査や新技術の活用を通じて、こうした見過ごされがちな土地に光を当て、次の世代へと正確な情報をつないでいくことが私たち専門家の使命です。山林の筆界についての探求は、まだ道半ばですが、一歩一歩確実に取り組んでまいります。